痛風・高尿酸血症
痛風は、血液に含まれる尿酸が多くなり、そのため関節に尿酸の結晶が蓄積されて関節炎になる病気です。関節の腫れとともに激しい痛みを伴います。症状は当初数日から1週間、または2週間前後ほどで無くなりますが、その後再び痛みが発生します。
次第に症状が続く時間も長くなり、痛みの頻度も短くなっていきます。放置すれば様々な部位の関節が痛み始め、悪化すれば腎臓疾患を引き起こします。30代~40代の男性にかけて起きやすい病気です。食事の習慣、生活の習慣に起因する病気でもあり、したがって症状改善のためには、薬物による治療のみならず食生活そのものの見直しをしていく必要が出てきます。
痛風の症状
足の指や足首あるいは膝などに、熱を伴った非常に強い痛みが突然出てきます。まれに手の関節に発生することもあります。痛みの表現は様々で、スジが切れたような痛み、骨に響くような痛み、足の指を挟まれたような感じなど、いずれも凄まじい痛みであることが分かります。その後しばらくして痛みは収まりますが、再び発作が起きます。そしてまた治まりますが、次第に発作が起きる間隔が短くなっていきます。
その間、血液中の尿酸値は高い状態になっており、液体から結晶に変わっています。その結晶が組織に溜まっていき痛みを伴う炎症の元になっているわけです。また、悪化すれば合併症を引き起こし、腎臓障害、高血圧、また脳卒中、糖尿病、心臓病、動脈硬化などの成人病に至ります。なお、尿酸塩は関節のみならず他の臓器に溜まる場合もあります。皮下や骨髄、腎臓などにも溜まることがあり、その後それぞれの合併症が出てきます。
痛風の検査
採血して血中の尿酸値が基準値を超えているか調べます。7mg/dl以上であれば痛風を引き起こす高尿酸血症と診断されます。また尿検査や関節レントゲン検査などを行う場合もあります。
痛風の診断
高尿酸血症であることと尿酸ナトリウム結晶の存在が認められることで、痛風と診断されます。そして関節レントゲン検査により尿酸塩(結晶)の沈着を確認します。また、痛風の症状として関節炎の程度や発作のタイミング、経過などで総合的に判断します。なお、痛風に似た症状として関節リウマチや変形性関節症、細菌による炎症、乾癬性関節炎などがあり、医師の知見により各々の疾患が見極められ適切な治療法が採用されます。
痛風の治療法
薬物療法と生活習慣の改善により治療していきます。薬物療法では関節炎による痛みを解消することと、その原因である高尿酸血症の改善を目指し、それぞれに適した薬剤を用います。尿酸値を下げる薬剤として尿酸産生抑制薬と尿酸排泄促進薬があります。場合によっては長期間に渡り使用し続ける可能性もあり、主治医の指示通りに服用していくことが大事です。生活習慣の改善では、食生活から見直していくことになります。また、高血圧や肥満、高脂血症、さらに糖尿病などを併発しているケースもよく見られ、したがって痛風としての治療の他にそれら疾患の治療も考慮にいれる必要が出てきます。
痛風の予後
薬物療法、生活習慣の改善により症状が治まっても、再発することもあります。したがって、都度主治医の判断を仰いで病気(尿酸値)をコントロールしていく必要があります。
痛風の日常生活における注意点
尿酸値を下げることを目標に以下の点に注意します。
1.食生活の見直し
カロリー控えめの食事に切り替えます。また摂取カロリーだけでなく、栄養バランスのよい食事をし、特にプリン体の含まれた食べ物には注意します。プリン体が多く含まれた食べ物には、レバー、白子、エビ、イワシやカツオなど一部の魚介類があります。総じて、美味しいものにプリン体が多く含まれています。
2.アルコールの制限
過剰なアルコール摂取はもちろん避け、また休肝日を設けるなどの配慮をします。特にプリン体の多く含まれているビール(発泡酒)は控えるように心がける必要があります。
3.有酸素運動を習慣に
ウォーキングや水泳などの有酸素運動が有効です。ただし激しい動きなど、運動のやり方によっては尿酸値を上げてしまうこともあり、運動に関しては主治医に相談することをお勧めします。
4.適度な水分補給
水分補給により尿量を増やし、そして尿酸を放出させます。
痛風の発作時の処置
患部を高い位置に上げ、痛みを感じる部分を冷やします。このときマッサージなど揉みほぐしたりすることは禁止です。また、市販の鎮痛薬を服用すると、成分によっては症状を悪化させるものがあるため、薬剤を服用する場合は主治医から処方されたものを用います。薬がなければ早めに受診をしてください。
痛風の注意点
正しく治療しないと予後が悪くなってしまいます。また長い間放置しておくと、重症化して腎不全にも発展し、ときには痛風結石により至る所の関節が炎症を起こします。そうなると、生活の質が悪くなってしまいますので、自覚症状があれば必ず放置せず受診をして、また治療中は個人判断で服用薬を止めたり量を減らすことはせず、主治医の判断にしたがって尿酸値のコントロールを続けていくことが大切です。